優游復優游

茶之湯の師匠に「瞻雲軒(せんうんけん)」の号あり。
「瞻雲為比隣」・・・雲を瞻(み)て 比隣(ひりん)となす。
まことに羨ましき雅号である。

  


少小抛筆硯   少小より筆硯(ひっけん)を抛(なげう)って
竊慕竺土仙   竊(ひそ)かに竺土(じくど)の仙を慕ふ。
一瓶興一鉢   一瓶(びょう)と 一鉢(ばつ)と
游方知幾年   游(ゆう)方 知る 幾年ぞ。
帰来寒厳下   帰来 寒厳の下
静卜草堂貧   静かに卜(ぼく)す 草堂の貧(ひん)。
聴鳥充絃歌   鳥を聴いて 絃歌(げんか)に充(あ)て
瞻雲為比隣   雲を瞻(み)て 比隣(ひりん)となす。
崖下有清泉   崖下(がいか)に清泉あり
可以濯衣巾   以て衣巾を濯(すす)ぐべく、
嶺上有松柏   嶺上に松柏あり
可以給柴薪   以て柴薪(さいしん)を給すべし。
優游復優游   優游(ゆうゆう)また 優游(ゆうゆう)
薄言永今晨   薄(いささ)か言(ここ)に今晨(こんしん)を永くせん。